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灰猫手紙舎の奥 石畳の道を通っていくと
小さな裏庭があります
風に揺れる花 葉の音 小鳥の声
その中に古いベンチを見つけたら座ってみて
誰かがそこに座った時だけ
庭守が そっと隣に現れて
『 だいじょうぶだよ 』って
そっと話しかけてくれます
名前は 灯雨(とうう)
薬箱の庭を守る猫
あなたの隣に座って
お茶を淹れながら
優しく独り言のように
ささやいていきます


すぅ・・・
森の中に
小さな光が差し込む
それは誰にも気づかれない
やわらかい朝の気配
はぁ・・・
その光が
あなたの心にそっと触れて
固まっていた心が
ほどけていく
すぅ・・・
木の葉が風にゆれている音
小さな鳥の羽ばたき
遠くで水が歌っている
はぁ・・・
あなたの体も
少しずつ静かになって
地球の緑に溶けていく
すぅ・・・
ここは安全な場所
ここにいるのは
あなたと優しい空気だけ
はぁ・・・
今
この微風の中にいれば
それでいい
灯雨
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